従来のお客様アカウントを使っているShopifyストアでは、切り替える前に「今のマイページで何を提供しているか」を確認しましょう。顧客情報や注文履歴は引き続き使えますが、テーマのコードで作った画面や、そこに組み込んだアプリの機能は別途対応が必要です。
この記事は同じShopifyストア内でアカウントの方式を切り替えるEC担当者向けのガイドです。他のECサービスからShopifyへ顧客データを移す作業は対象に含みません。仕様は2026年10月16日に公式情報を確認しています。
引き継げるものと変わるもの
「お客様アカウント」は、購入者が注文履歴や登録情報を確認するマイページです。従来版はメールアドレスとパスワードでログインします。新しい方式では、メールに届く6桁の認証コードが基本になります。
Shopifyに顧客プロフィールがあれば、そのメールアドレスでログインして注文やアカウント情報を確認できます。既存顧客に、パスワードの移行や会員登録のやり直しを依頼する必要はありません。ただし、別のメールアドレスでログインすると別の顧客プロフィールが作られるため、案内には「購入時に使ったメールアドレス」を明記します。Shopify公式のアカウント説明
| 項目 | 切り替え後の扱い | 担当者が確認すること |
|---|---|---|
| 顧客プロフィール・注文履歴・保存した住所 | 既存の顧客情報を使う | テスト用顧客の過去注文と住所が表示されるか |
| ログイン | メールの認証コードが基本 | メールの受信、Shopなど追加のログイン方法 |
| マイページの見た目 | テーマから独立した画面になる | ロゴ・色・メニューと必要な機能 |
| Liquidによる変更 | そのまま引き継がれない | 標準機能・対応アプリ・独自開発のどれで補うか |
| ポイント・定期購入などのアプリ | アプリごとに対応が異なる | 残高表示だけでなく、交換・変更などの操作も使えるか |
| 外部サイトとのログイン連携 | 連携方法と利用条件による | 既存のMultipassか、独自の認証基盤か |
LiquidはShopifyのテーマで画面を表示するためのテンプレート言語です。従来版ではLiquidを編集できましたが、新しいアカウントの画面はShopify側で管理されます。機能を足す場合は、主に対応アプリのブロックを使います。新旧アカウントの比較
自店の移行前チェック
マイページの画面を開き、使っている機能と担当者を一覧にします。たとえば定期購入ストアなら、「契約内容を表示する」だけでなく「次回配送を変更する」「解約する」まで確認対象に含めます。
| 今のストアで使っているもの | 移行前に決めること・確認先 |
|---|---|
| Liquidで追加した会員情報やボタン | 必要な表示と操作を書き出し、再現するもの・変えるもの・終了するものを決める |
| ポイント、会員ランク、定期購入、ウィッシュリスト | 提供元に新しいお客様アカウントへの対応と設定方法を確認する |
| 独自のログイン画面・登録フォーム | 通常のログインリンクだけでなく、ポップアップや別ページのフォームも確認する |
| 外部サイトの会員ログインとの連携 | 下の「外部ログイン連携」を確認し、開発担当者と認証方法を決める |
| Shopify Flowの自動処理・顧客セグメント | 従来版のアカウント作成などに依存する処理を確認する。customer_account_status を条件にしたセグメントも見直す |
| 注文状況ページの計測・追加表示 | 古いスクリプトへの依存を確認し、計測はピクセル、表示は対応するアプリのブロックへの置き換えを調べる |
| 国・地域ごとのドメイン | お客様アカウントの独自ドメインをマーケット別には設定できないため、共通のURLを決める |
| テーマの更新・入れ替え | 従来版のファイルがないテーマに変えると自動で新しい方式へ切り替わるため、更新前に準備を終える |
| 独自に作ったストアフロント | 顧客情報や認証に使うAPIを開発担当者が確認する |
FlowはShopifyの業務を自動化するアプリです。従来版を前提にした処理や顧客セグメントは、画面が表示できても同じようには動きません。移行時の制限事項
注文完了・注文状況ページの更新はアカウントの切り替えと分けて確認します。通常プランの旧ページのアップグレード期限は2026年8月26日でした。アカウントを切り替えただけで計測や追加表示の対応が終わるわけではありません。注文完了・注文状況ページの更新ガイド
外部ログイン連携
Multipassは外部サイトでログインした顧客をShopifyへ引き継ぐ仕組みです。現行の公式説明では、すでにMultipassを使っているPlusストアは、新しいお客様アカウントに切り替えても既存の連携を継続できます。
ただし、新しい方式での利用は対応開始時点でMultipassを使っていたストアに限られます。新規の連携には、OpenID Connectに対応した外部IDプロバイダーを接続する方法が案内されています。IDプロバイダーは自社サービスなどのログインを管理する認証基盤です。この接続もPlusが対象です。Multipassの現行要件、外部IDプロバイダーの接続条件
外部IDプロバイダーを接続すると、Shopify標準のログイン方式が置き換わります。一般的なメール認証の手順をそのまま顧客へ案内せず、連携後に自店の画面で確認してください。
標準機能と追加機能の分け方
新しいお客様アカウントでは、注文履歴の確認、再注文、名前・メールアドレス・住所の編集ができます。返品やキャンセルの申請、ストアクレジットなどは、利用する機能の設定も必要です。
| やりたいこと | 確認する機能・条件 |
|---|---|
| 過去の注文からもう一度買ってもらう | 標準の再注文ボタン。商品単位の注文導線などが必要なら追加機能を検討する |
| 購入者に返品・キャンセルを申請してもらう | セルフサービスの返品・キャンセルを有効化し、受付ルールを決める |
| 名前や配送先を本人に変更してもらう | 標準のプロフィール・住所編集。外部IDプロバイダー利用時は、アカウント画面でメールアドレスを変更できない |
| ポイント、会員ランク、独自の会員項目を表示する | 対応アプリ、または独自開発 |
| カード情報を次回の購入に使う | Shop Pay、B2Bのカード保存、アカウントの保存済み決済方法を区別し、必要な機能の利用条件を確認する |
返品・キャンセルは、申請しただけで処理が完了する仕組みではありません。担当者が申請内容を確認して対応します。また、定期購入の注文をキャンセルしても、定期購入契約の解約にはなりません。セルフサービスの返品・キャンセル
「新しいアカウントなら全員がカードを保存できる」とも限りません。アカウントの「保存済み決済方法」は、現行ヘルプではShopifyのEnterprise向けサービスが対象です。Shop PayやB2Bのカード保存とは条件が異なります。アカウントの保存済み決済方法、B2Bのカード保存
アプリで要件を満たせない場合は、Customer account UI extensionsという仕組みで画面に機能を追加できます。従来のHTMLやCSSをそのまま移す方法ではないため、開発を依頼するときは必要な表示・入力・操作を伝えます。選び方はマイページ拡張の概要、開発手順は拡張開発の始め方を参照してください。
切り替えの手順

Popazで利用中のお客様アカウントの設定画面(2026年10月16日撮影)。切り替え前の画面とは表示項目が異なる場合があります。ストア固有のURLは非表示にしています。
次はShopify公式の移行手順に沿った流れです。従来版のテーマと設定は、切り替え後の確認が終わるまで保管しておきます。
- 現在のマイページとアプリを確認し、切り替え後も使う機能を決めます。
- 「設定」→「チェックアウト」で、現在の設定を複製します。
- 複製した設定をカスタマイズし、お客様アカウントに対応したアプリのブロックや必要なリンクを配置します。
- ロゴ・色・メニューを整え、チェックアウトとアカウントの両方をプレビューします。
- 独自のURLを使う場合は、アカウント用のサブドメインを接続します。
- 認証コードのメールに使う差出人メールアドレスを確認します。
- アプリとブランド設定の準備ができたら、複製した設定を公開します。
- 「設定」→「お客様アカウント」にあるURLを開き、テスト用顧客でログインと必要な操作を確認します。
- 顧客への案内と運用の準備ができたら、「お客様アカウント」の「アップグレード」で切り替えます。
手順7の「設定を公開」はチェックアウトにも変更を反映します。 手順9まではストアのリンクが従来版を向いたままでも、設定の公開自体は本番への変更です。チェックアウトに反映される内容も確認してから進めてください。
切り替え前に試す操作
| 確認対象 | テストする内容 |
|---|---|
| ログイン | 認証コードを受信できるか。Shopなど、自店が提供する方法で入れるか |
| 過去の注文 | 切り替え前から存在するテスト注文が、同じメールアドレスで見えるか |
| 顧客情報 | 名前・住所が表示され、想定どおりに編集できるか |
| アプリ | ポイント残高だけでなく交換、定期購入の確認だけでなく変更などもできるか |
| 再注文 | 自店の商品や購入条件で、意図した商品・数量をカートへ入れられるか |
| 画面と導線 | スマートフォンでメニューを開けるか。古いログインリンクや独自フォームが残っていないか |
日本語の氏名・住所の並びや再注文の挙動は、自店の商品とアプリを使って確認します。商品ごとの再注文ボタンを作る場合はこちらの実装記事に条件と手順をまとめています。
顧客への案内と切り替え後の確認
顧客には変更日、購入時のメールアドレスでログインすること、パスワードの代わりに認証コードを使うことを案内します。Shopなどのログイン方法も提供する場合は、自店の画面に合う説明にします。Shop Payを有効にしているストアでは、Shopのアカウントや保存したパスキーでもログインできます。ログイン方法の説明
切り替え後はログインできない、過去の注文が見えない、アプリの操作ができない、といった問い合わせを確認します。旧テンプレートやアプリの削除は、必要な機能を使えることと、元に戻す必要がないことを確認してから判断しましょう。
よくある質問
従来版の廃止日は決まっていますか
2026年10月16日に確認した公式告知では、最終的な廃止日は「2026年中に発表」とされ、具体的な日付は示されていません。従来版は2026年2月26日に非推奨となり、新規ストアなどでは利用できなくなっています。テーマを変更した際に自動で切り替わる条件もあるため、廃止日の発表を待たずに機能の確認を進めておきましょう。公式の非推奨告知
切り替え後に元へ戻せますか
公式ヘルプには30日以内なら従来版へ戻せると記載されています。ただし、削除したテーマのコードや解除したアプリの設定まで元に戻るという意味ではありません。切り替え前のテーマと設定を残し、戻す場合の手順も担当者間で共有しておきます。公式の移行ガイド
ログイン画面に独自の入力欄を追加できますか
標準のログイン画面にはアプリのブロックを追加できません。ロゴや色などの変更と、独自項目の入力を分けて考え、会員情報をいつ集めるかを決めます。外部の認証基盤を使う場合はPlusの接続条件も確認が必要です。移行時の制限事項
移行範囲の相談
ポイントや定期購入、外部ログインとの連携があると、管理画面の切り替えだけでは作業範囲を決められません。Popazへの相談では、現在のマイページ、使っているアプリ、残したい操作が分かると、標準機能で対応できる部分と追加対応が必要な部分を整理できます。
