ShopifyではBasic・Grow・Advancedでも、取引先が卸価格で注文できるB2B機能を使えます。B2Bは企業間取引のことで、卸売や法人向け販売が当てはまります。Starter・Retailは対象外です。
プランを選ぶときは、取引先の社数よりも「価格と販売商品をどう分けるか」を先に整理しましょう。通常プランではShopify Marketsを通じて共通の販売条件を適用します。会社ごとの価格表を直接割り当てたい場合や、前金・一部決済が必要な場合はPlusが候補になります。公式のプラン別B2B機能
この記事はShopifyで卸売を始める、または既存の卸売運用を見直すEC担当者向けです。仕様は2026年10月16日に公式情報を確認しています。
最初に整理する取引条件
ShopifyのB2Bでは取引先を「会社」として登録し、その支店や納品先などを「会社のロケーション」で管理します。注文する担当者は該当する会社・ロケーションに紐づけます。
「カタログ」は購入できる商品と価格をまとめた設定です。紙のカタログを表示する機能ではありません。価格や商品をまとめて適用する顧客グループは、Shopify Marketsの「B2Bマーケット」で設定します。B2Bの設定ガイド、B2BとMarkets
現在の価格表や請求ルールを見ながら、次の項目を埋めるとプランの比較がしやすくなります。
| 決めること | 整理する内容 |
|---|---|
| 販売商品 | 一般顧客と同じ商品を売るか、卸売専用の商品があるか |
| 卸価格 | 全社共通か、グループ別か、個社ごとの契約価格か |
| 注文数量 | 最低数量、上限、ケース単位などの購入単位があるか |
| 支払い | 注文時の支払い、期限付き後払い、前金のどれが必要か |
| 受注確認 | 注文をそのまま受け付けるか、担当者が内容を確認して確定するか |
| ストア構成 | 一般顧客向けの販売と同じストアにするか、卸売専用にするか |
たとえば卸売先が増えても、全社に同じ商品と価格を適用するなら、社数が増えたことだけでカタログも増えるわけではありません。一方、少数の取引先でも、各社に異なる価格表を直接持たせたい場合は割り当て方法が判断材料になります。
通常プランとPlusの比較
会社・担当者の管理、数量ルール、数量別価格、支払い期限などは、Basic・Grow・Advanced・Plusで利用できます。主な差は次のとおりです。
| 機能 | Basic | Grow | Advanced | Plus |
|---|---|---|---|---|
| 会社・ロケーション・担当者の管理 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| B2Bマーケットへ割り当てる有効なカタログ | 全体で最大3つ | 全体で最大3つ | 全体で最大3つ | 数の制限なし |
| 会社・ロケーションへのカタログ直接割り当て | 非対応 | 非対応 | 非対応 | 対応 |
| 最低数量・購入単位・数量別価格 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| 支払い期限・B2Bのカード保存 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| 注文を下書きで受け付けて確認 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| 前金・一部決済・出荷ごとの決済リクエスト | 非対応 | 非対応 | 非対応 | 対応 |
| Marketsによるストア・チェックアウトの表示切り替え | 非対応 | 非対応 | 対応 | 対応 |
「対応」は各機能の利用条件を満たすことが前提です。B2Bのカード保存にはShopify Paymentsが必要です。通常プランでB2Bカタログを使うには、新しいShopify Marketsを利用している必要があります。プラン別の条件
チェックアウトを変更できる範囲
チェックアウトは、購入者が配送先や支払い方法を指定して注文する画面です。「チェックアウトを変更する」といっても、対象の画面や方法で利用条件が変わります。
| 変更したいこと | 主なプラン条件 |
|---|---|
| ロゴ・色・フォントを調整する | Basic以上で対応 |
| 注文完了・注文状況・お客様アカウントに対応アプリを追加する | Basic以上で対応 |
| 情報入力・配送・決済の各画面にUI拡張を追加する | Plusが必要 |
| Marketsを使って顧客グループ別に表示を切り替える | Advanced以上が対象。追加する機能自体の制限は別途適用 |
| 決済方法・配送方法を条件付きで表示する | 公開アプリなどでBasic以上から対応できる。アプリと地域の条件を確認 |
UI拡張は画面の決まった場所へアプリの表示や入力欄を追加する仕組みです。AdvancedでMarketsの表示切り替えを使えても、情報入力・配送・決済画面へ自由にUI拡張を追加できるわけではありません。チェックアウトのカスタマイズ条件、UI拡張のプラン要件
カタログの上限と割り当て

未保存のカタログ作成画面。タイトル・マーケット・価格設定を確認します。画面の設定は保存していません。
通常プランの「最大3つ」はすべてのB2Bマーケットに割り当てる、有効なカタログの合計です。マーケットごとに3つ使えるという意味ではありません。1つのマーケットに3つを割り当てれば、その時点で上限に達します。
会社やロケーションへカタログを直接割り当てる機能はPlusに限られます。通常プランではB2Bマーケットを通じて適用します。Marketsでのカタログ設定
以下はプランを検討するための運用例です。特定のストアの実績を示すものではありません。
| 運用例 | 検討の方向 |
|---|---|
| 卸売先に共通の商品・価格を適用する | 通常プランのB2Bマーケットと共通カタログを検討する |
| 地域などのグループごとに商品・価格を分ける | Marketsの条件でグループを作れるか、有効なカタログの合計が3つ以内かを確認する |
| 会社ごとの契約価格を直接割り当てる | Plusの会社・ロケーションへの直接割り当てを検討する |
| 4つ以上の有効なB2Bマーケットカタログを使う | Plusを検討する |
「価格の種類が3つ以内なら必ず通常プランで足りる」とは判断できません。希望する取引先の分け方をMarketsで設定できるかまで確認します。
カタログには商品全体の価格調整に加え、商品ごとの固定価格や数量別価格も設定できます。固定価格を設定した商品では、その固定価格が全体の価格調整より優先されます。複数カタログを適用する場合の価格ルールもあるため、実際に取引先としてログインして表示価格を確かめましょう。カタログの価格設定
支払い条件と日々の受注業務
支払い条件は会社のロケーションごとに設定できます。たとえば「Net 30」は注文日から30日以内に支払う条件です。「月末締め翌月末払い」とは期限の決まり方が違うため、今の請求ルールをそのまま当てはめないようにします。
また、支払い期限を設定しても、期限が来たら自動でカード決済されるわけではありません。入金の確認やカードへの請求を誰が行うかも決めておく必要があります。カードへの請求を自動化する場合は、Shopify Flowで別途設定します。B2Bの支払い条件
注文時に一部を前金として受け取る、代金を分けて受け取る、出荷ごとに支払いを依頼するといった機能はPlusが対象です。通常プランでも、注文を下書きとして受け付け、内容を確認してから確定する運用はできます。
国内の銀行振込は手動の決済方法と入金確認の運用を組み合わせて検討します。B2Bの機能一覧にあるACHは米国向けの口座引き落としで、日本の銀行振込を自動化する機能ではありません。決済・配送の設定、ACHの利用条件
導入の進め方
一般顧客向けの販売と同じストアでB2Bを運営する場合は、卸売先だけでなく一般顧客の購入も確認対象になります。会社・価格・決済条件を設定してから、取引先に利用を案内します。公式の導入チェックリスト
- 一般販売と同じストアにするか、卸売専用にするかを決めます。既存のB2Bアプリを使っている場合は、会社情報・価格・受注処理をどこで管理しているかも整理します。
- 「顧客管理」→「会社」で取引先とロケーションを登録し、注文する担当者と権限を設定します。
- 「マーケット」→「カタログ」で販売商品、価格、最低数量や購入単位を設定します。通常プランではB2Bマーケットへ割り当てます。
- 取引先が新しいお客様アカウントにログインできるようにします。従来版を使っているストアでは、アカウント切り替えの確認事項も確認します。
- 支払い期限、決済方法、送料、注文を下書きで受けるかを設定します。
- テスト用の会社と顧客で、表示価格から受注後の処理まで確認し、利用案内を出します。
一般顧客は従来のお客様アカウントを使い、B2Bの取引先だけに新しいアカウントのURLを案内する構成も可能です。どの顧客をいつ切り替えるかを分けて決めます。
最低数量やケース単位の販売には「数量ルール」を使います。まとめて購入した場合に単価を変えるのが「数量別価格」です。両方を組み合わせることもできます。数量ルールと数量別価格
利用案内前の確認
| 確認する立場 | 確認する内容 |
|---|---|
| 卸売先の担当者 | 担当する会社・ロケーションで注文できるか |
| 卸売先の担当者 | 商品、価格、購入単位、支払い期限、送料が契約内容に合うか |
| 受注担当者 | 下書きの確認、注文確定、入金確認、出荷の流れを処理できるか |
| 一般顧客・未ログインの閲覧者 | 一般向けの価格と商品が表示され、通常の購入ができるか |
Shopify公式も取引先を招待する前にテスト用の会社・顧客で注文を試すよう案内しています。稼働中のストアでは、テストのために実決済の設定を変えると一般顧客にも影響するため、確認方法と実施時間を先に決めます。B2B設定のテスト
よくある質問
一般販売と卸売を同じストアで運営できますか
できます。取引先は会社に紐づいたアカウントでログインし、設定された商品・価格・支払い条件で注文します。ただし、卸売専用商品の公開範囲や決済方法などは設定が必要です。カタログを作っただけで、すべての販売条件が自動で分かれるわけではありません。一般販売とB2Bを併用する設定
既存のB2Bアプリは外せますか
標準機能で置き換えられる部分を確認してから判断します。会社情報や価格の移行、見積もり、請求書、会計連携など、アプリが担当している仕事を一覧にしましょう。すべてを標準機能へ置き換えられるとは限りません。移行後の価格と受注処理が確認できるまで、アンインストールを急ぐ必要はありません。
Plusを検討する目安は何ですか
会社ごとにカタログを直接割り当てたい、4つ以上の有効なB2Bマーケットカタログを使いたい、前金や一部決済が必要、購入手続きの主要画面にUI拡張を追加したい、といった条件がある場合です。社数や売上だけで決めず、必要な業務をプランの機能と照らし合わせます。
卸売の構成を相談する
Popazへの相談では、現在の価格表、取引先の分け方、支払い・受注ルールが分かると、通常プランで組める範囲とPlusやアプリを使う範囲を整理できます。まだ卸売を始めていない場合も、予定している販売条件から検討できます。

